人は、意見を語っているようでーー自分の居場所を語っているのかもしれない。
「私はこう思う」という言葉を放つことは、自分を、そのまま世界に差し出す行為。
だからこそ、人は少し怖くなる。
間違う事を恐れ、拒否される事を恐れ、そして、何よりも関係が揺れる事を恐れる。
その時、私達は、自分の声を、そのまま外へ出さなくなる。
1度、誰かの声に預けるようになる。
「〇〇さんが言っていた」という形にして。
♦人は、否定されるのを恐れているのではない。否定によって自分という存在の重さが軽く見られる事を恐れている
「〇〇さんが言っていた。」
このような発言をする人、あんたの周りにもいませんか?
私は、誉め言葉であれば上記のように使い方は推せますが、そうではない場合、嫌いです。
あなたは、どうでしょうか?
心理学的に分析すると、これは単なる話し方ではなく、自己防衛・社会適応・認知様式が重なった行動パターンとして、理解出来ます。
♦心は、現実を歪めているのではない。耐えられる形に、翻訳しているのだ
ーだから人は、理由を足し、意味を変え、痛みの温度を下げるー
①自己防衛メカニズム
自己防衛メカニズムとは、心が壊れない為に、無意識に現実の受け取り方を調整する働きの事です。
ポイント、否、恐ろしい所は3つ。
★無意識で起きる
☆自動発動する
★本人は気づいていない
つまり、嘘をついているわけでも、相手を傷つける目的があるわけでもなく、心が耐えられる形に現実を変換しているのです。
「〇〇さんが言っていた」という引用話法は、心理学的には、防衛機制として機能します。
♧合理化
自分の意見を他者に乗せる事で
★批判→自分ではなく他者に向かう
☆否定→自分の否定にならない
♧回避
断定による
★衝突・拒絶
☆評価不安
を避ける
♦不安とは、他人の目を恐れている事ではない。不安とは、他人の目に映る自分を恐れている事である
ー間違いを恐れているのではない。間違った自分として記憶されることを恐れているー
②評価不安
評価不安は、多くの日本人に見られる心理傾向です。
評価不安とは、単なる人前で緊張する・批判が怖いとうレベルのものではありません。
評価不安とは「他者の評価により、自己価値が変動する事への恐怖」です。
本当に恐れているのは批判そのものではなく、評価により自分の存在価値が下がる事なのです。
評価不安は、20歳になり、突然現れるものではありません。
多くは、0~6歳時の非認知能力の臨界期に置かれた環境で、獲得します。
★上手くできた時だけ褒められる
☆失敗すると、否定される
★比較される
日本で多くみられる条件付き承認環境において、子どもは、学習します。
「評価=愛情の条件」であると。
その結果、失敗=愛情喪失、否定=存在否定であるという前提認知が出来上がります。
※前提認知:自分・他者・世界に対して、無意識にそうだと思っている土台の認識
そして、誠に悲しい事に、日本社会は、評価不安という前提認知が増幅しやすい環境にあります。
★同調圧力
☆空気を読む
★恥文化
☆正解主義評価
幼少期より日本の条件付き承認環境で育ってきたのであれば、相当にぶっ飛んだ人でなければ、評価されない自由よりも、評価を外さない安全を優先するようになります。
ー評価や失敗に震える夜、心は自分を抱きしめているー
ここで、本質と接続。
★自分の意見を出す=評価対象化
☆間違い・失敗=自己価値低下
評価不安が強いと、自分の意見を出す=評価対象化、間違い・失敗=自己価値低下という思考に無意識になります。
自分の評価が下がる事・自分の価値を下げる事を避ける為「〇〇さんが言っていた」と他者の言葉を使うのです。
他者の言葉を使えばー
★自分は、評価対象にならない
☆間違っても失敗しても、自分は傷つかない
他者の言葉を使う引用は、評価不安を緩和する発話防衛なのです。