ーー作品が終わるというのは、不思議な感覚だ。
それは、突然友達が遠くに引っ越してしまう感覚に近い。
もう逢えないわけではない。
本を開けば、いつでも彼ら彼女らの人生や言葉に触れることは出来る。
それでも、同じ時間を共有していた日常は、確かに終わってしまったーー。
♦オマエが1番信頼できる。そんだけだよ
2024年9月30日『呪術廻戦』連載終了。
2026年3月9日スピンオフ『呪術廻戦≡』連載終了。
☆2024年連載終了時の発行部数:1億部
★2025年12月の発行部数:1億5,000万部
上記の驚異的な数字の如く、連載が終了しても、彼ら彼女らの人生や物語は、日本、否、世界中の呪術ファンに届いています。
ーー『呪術廻戦』の連載が終了して1年。
物語が終わり、私の中には、いまだにぽっかりとした穴が空いている。
毎週物語に触れることが、人生の一部になっていたからだ。
それは、楽しみとも、義務とも、少し違う。やはり、人生の一部という表現がしっくりくる。
そんな空白の時間の中で『呪術廻戦』の連載終了から1年後に始まったのが『呪術廻戦≡』であったーー。
「もう五条悟とか、どーでもよくない?」
「何言ってんの?」
「未来の話だよ。悠仁にはそう思ってて欲しくって。」
「僕に何かあった時、繋いでいってほしい意志も夢もあるよ。」
「でも今の僕が僕の終わりだとして、みんないつか僕より大人になる日がくるわけじゃん。そんな中、一人くらい僕のこと忘れて、僕とは全く違う強さを持つ人間がいた方がいいと思うんだ。」
「忘れるわけないじゃん。なんからしくないっていうか、先生弱気じゃない?そんなんで大丈夫?」
「くっくっ若いねぇ。これ以上ない強気だよ。期待してるよ。悠仁。」
『呪術廻戦』最終話、五条悟と虎杖悠仁の会話です。
≡(モジュロ)とは、割り算をした時の余りを表す言葉です。
『呪術廻戦≡』とは、上記の『呪術廻戦』最終話の五条悟からの呪い(願い)を紡ぐ物語です。
ー縦の秩序に縛られる世界で、横の関係だけが、静かで確かな救いとなるー
私が『呪術廻戦』の魅力の1つに感じているのは、教師である五条悟の事を生徒達が「悟」と呼ぶという「横の関係」です。
ーー日本人は、生まれた瞬間から「縦の社会」の中で生きている。
学校では年齢や学年で序列が決まり、会社では役職や経験により、上下関係が作られる。
個人の意思や感情は、規則や秩序、そして空気の陰に押しやられ、自由に動くことは難しい。
それでも、そんな「縦の社会」において、ふと「横の関係」に出逢う瞬間がある。
同じ目線で意見を伝えあい、互いの言葉に耳を傾け、信頼を分かち合う瞬間。
『呪術廻戦』の世界は、そんな「横の関係」で溢れている。
教師である五条悟を「悟」と呼ぶ生徒達との関係は、上下や権威ではなく、信頼と理解に基づく自由なものであるーー。
…育てる。強く聡い奴らを。もう誰も独りにさせない…
…実はオマエらどっちかのことを愛してた。なんてことは天地がひっくり返ってもないけどさ、私がいたろ。何が独りだ。馬鹿野郎…
…もうウジャウジャいるぞ。オマエの帰りを待っている化け物どもが…
『呪術廻戦』硝子の回想と脳内言葉です。
日本社会は「縦の社会」です。
「縦の社会」の構造は、制度→組織→個人になります。
「縦の社会」では、ルールや制度が最初にあり、それに基づき組織が作られ、個人は役割や規範に従います。
「縦の社会」では、個人の感情や自由よりも、秩序や効率が優先されます。
心理学的に分析すると「縦の社会」とは「承認欲求や安心が、上位の権威に依存する」構造になります。
ー呼び名の響きに、信頼は宿る。縦の世界に生きる者への呪いか、あるいは救いかー
☆真希→「悟」
★秤→「五条さん」
☆虎杖→「先生」
『呪術廻戦』では、全ての生徒が五条悟の事を「悟」と呼ぶわけではありません。
1人1人呼び方が、違います。
これは、微妙な距離感や関係性の違いを現すとともに、上下関係ではなく、個人間の信頼や親しさの違いを表現しています。
『呪術廻戦」は「横の社会」です。
「横の社会」の構造は、個人→関係→信頼になります。
「横の社会」では、個人の意思や主体性が最初にあり、それを基に横の関係が構築されていきます。
「横の社会」では、信頼や共感を基盤に関係が作られる為、自由で柔軟なコミュニケーションが可能になります。
心理学的に分析すると「横の社会」とは「自己の価値と他者の理解が相互に確認される」構造になります。
♧縦の社会
★秩序や安定を優先する為、個人の意思は制約される
☆個人の意思が尊重されない為、葛藤や失敗が許されない
★社会的には効率的だが、個人の自由や柔軟性は犠牲になる
♧横の社会
☆信頼を基盤とする為、関係は柔軟で変化に対応しやすい
★個人の意思が尊重される為、葛藤や失敗が関係の中で受容される
☆自由と安心感が、同時に生まれやすい構造になる
「頑張れ?」「死ぬな?」
「なんかしっくり来ないんだよな。」「今まで勝って当たり前の人間だったからな。」「心配しよう、応援しようという気が湧かないよね。」
「ははでも普通に喜んでくれると思うよ。」「あたりめーだりとか返されたら、宿儺の前に殴っちまいそうだ。」
「先生!!術式邪魔!!」
「ははっばっちこい!!」
「行ってこいバカ目隠し!!」「面だけの男じゃねぇって証明しろ!!」「しんどくなったら代わりますよ。」「勝てよ!!五条さん!!」
「応!!」
『呪術廻戦』現代最強呪術師と歴代最強呪術師の決戦前です。
ーー 「縦の社会」で生きる私達にとって「横の関係」は、たとえ小さくとも、確かな救いである。
『呪術廻戦」は、その救いを、静かに、しかし確実に教えてくれる。
若しかしたら、これが『呪術廻戦』が私達にかけた呪いなのかもしれない。
呪いには、良いも悪いもない。
だって、その呪いを解釈するのは、私達自身だから。
そして、名前の響き1つに、人は心を縛られ、救われ、そして揺さぶられるーー。